- 2007/03/29 21:36|
- Category: 新国立劇場バレエ|
クレジット
振付:ドミニク・ウォルシュ/音楽:クリストフ・ヴィリパルト・グルック/舞台装置:島次郎/衣装:ルイザ・スピナテッリ/照明:沢田祐二
編曲/指揮:デヴィッド・ガルフォース/演奏:東京フィルハーモニー管弦楽団
合唱指揮:三澤洋史/合唱:新国立劇場合唱団(ソプラノ:岩本麻里、佐藤泰子/アルト:四家緑、吉田理絵/テノール:東海林尚文、手島英/バス:川村章仁、小林幸紀)
新国立劇場 中劇場
キャスト
エウリディーチェ:酒井はな
オルフェオ:山本隆之
アムール:湯川麻美子/市川透/貝川鐡夫
エウリディーチェ(歌手):國光ともこ
オルフェオ(歌手):石崎秀和
アムール(歌手):九嶋香奈枝
弔問客:さいとう美帆/西川貴子/西山裕子/楠本郁子/丸尾孝子/寺田亜沙子/市川透/陳秀介/マイレン・トレウバエフ/グリゴリー・バリノフ/井口裕之/末松大輔(交替出演)
エウリディーチェの幻影:真忠久美子/厚木三杏/遠藤睦子/神部ゆみ子/楠本郁子(交替出演)
精霊(プリンシパル):吉本泰久/丸尾孝子/西川貴子
精霊(ソリスト):西山裕子/川村真樹/寺田亜沙子/市川透/陳秀介/グリゴリー・バリノフ/貝川鐵夫/冨川祐樹/マイレン・トレウバエフ(交替出演)
精霊:さいとう美帆/寺島まゆみ/千歳美香子/酒井麻子/堀口純/井口裕之/末松大輔/福田圭吾/泊陽平/アンダーシュ・ハンマル
極楽のヒロインたち:真忠久美子/遠藤睦子/さいとう美帆/西川貴子/西山裕子/川村真樹/神部ゆみ子/楠本郁子/丸尾孝子/寺田亜沙子(交替出演)/市川透/陳秀介/マイレン・トレウバエフ/グリゴリー・バリノフ/貝川鐡夫/井口裕之/小笠原一真/末松大輔/アンダーシュ・ハンマル
感想
酒井/山本ペアの2日目。黒オルフェオ(歌手)の方は初日より1幕はだいぶよかったと思いますが、2幕は元に戻っちゃった。やっぱりもう一人の方の歌を聴いてしまうと物足りなかったです。
1幕1場で、オルフェオに構ってほしいエウリディーチェと外出の時間が気になるオルフェオがいきなりユニゾンで踊りだすところ。あの部分、中村オルフェオの踊り出しは「エウリディーチェとも一緒にいたい」感じがありました。そして踊りも湯川さんとかなり合わせていた(ような記憶がある)ので互いへの愛情のシンクロニシティと見えたんですね。
山本さんはおざなりな感じで踊り始めて、酒井さんともぴったり合ってはいなくて(笑)、それでも初日よりずっと合わせてはいたのですが...どうも違う言語で話している男女のような違和感が消えませんでした。ホントにこの2人は愛し合っているんだろーかと思う瞬間でもあり、また男と女の愛情は噛み合ない/釣り合うことはないと見ることもできて興味深くもあり。踊り終わった後、エウリディーチェの顔に愛しさとも欲望とも思えるものを再発見してキスを与える所を見ると、倦怠期なのかなー(笑)。
はなさんのエウリディーチェは人妻としてはかなり情念の炎がメラメラと燃えているタイプ。山本さんとのバランスは、古典作品で見るこのペア程はよく感じませんでした。踊っているところはとても素晴らしく濃密な世界を表現しているのだけど、全体に2人のドラマが見えにくかった気がします。はなさんの濃厚さの前では山本さんはかなり淡白に見えてもいました。
2幕頭に客席から登場してエウリディーチェの手をつかむまでのオルフェオは特に淡白な気がするのですが、それは中村さんも山本さんも一緒だったので、特に山本さんの表現が劣るということではなくそういう演出なのかしらと思わなくもないのですが、だとしたらとてももったいない時間帯ではありました。
この日「おっ?」と思ったのは、ハデスの入り口からエリュシオンへと向うエウリディーチェ。この日のはなさんは、ベッドの上にいるオルフェオをじーっと見つめながら(しかもかなり挑発的な視線だった)歩き去っていきました。前日まではもっとさらっと歩いていたような気がするのだけど。あの視線の意味は何だろう?普通に考えれば「あなたとお別れするのは悲しい」と伝えてきそうなものですが、はなさんはまるで「来れるものなら来てみなさい」とか「こんなに愛しているのに、あなたにはわからないのね」とでも言っていたかのような...(笑)。
迷路のパ・ド・ドゥは素晴らしかったです。ユニゾンで踊るところも初日よりずっと合っていましたし、オルフェオがエウリディーチェの顔を見た瞬間も初日よりずっとわかりやすかった。引き込まれました。見事でした。でもねー、なにしろはなさんが濃厚なので、こんなラテン奥さんを地上に連れ帰ってこの2人は今後幸せな結婚生活を続けられるのか?と思ってしまって。そういう意味では、湯川/中村ペアの方が感情移入できたので好きでしたし、感動も深かったです。
日を追ってよくなっていった群舞たち。特に弔問客たちが、順番に女性をリフトしていくところは3日目にして音楽を形にした、と思えました。私の座席の位置のせいもあったかもしれませんが、それまでは何だかぴりっとしなかったように感じていたのが、この日はとてもよかったです。
結局3日間通った訳ですが(最終日の寺島ひろみさん/江本拓さんが見られず本当に残念でした)、これ、1回見ただけだと魅力がわかりにくいでしょうね。2回以上見るのは新国立劇場が好きな人くらいでしょうけど...見た分だけの発見と感動のある作品でした。男性が主役の珍しいバレエという意味でも興味深かったです。あの迷路のパ・ド・ドゥは何度でも見たい位気に入りました。ただ、歌手も完成度の高い人を起用していただきたかったというのが注文。