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「オルフェオとエウリディーチェ」新国立劇場バレエ(2007.03.21)

クレジット

振付:ドミニク・ウォルシュ/音楽:クリストフ・ヴィリパルト・グルック/舞台装置:島次郎/衣装:ルイザ・スピナテッリ/照明:沢田祐二
編曲/指揮:デヴィッド・ガルフォース/演奏:東京フィルハーモニー管弦楽団

合唱指揮:三澤洋史/合唱:新国立劇場合唱団(ソプラノ:岩本麻里、佐藤泰子/アルト:四家緑、吉田理絵/テノール:東海林尚文、手島英/バス:川村章仁、小林幸紀)
新国立劇場 中劇場

キャスト

エウリディーチェ:酒井はな
オルフェオ:山本隆之
アムール:湯川麻美子/市川透/貝川鐡夫
エウリディーチェ(歌手):國光ともこ
オルフェオ(歌手):石崎秀和
アムール(歌手):九嶋香奈枝
弔問客:さいとう美帆/西川貴子/西山裕子/楠本郁子/丸尾孝子/寺田亜沙子/市川透/陳秀介/マイレン・トレウバエフ/グリゴリー・バリノフ/井口裕之/末松大輔(交替出演)
エウリディーチェの幻影:真忠久美子/厚木三杏/遠藤睦子/神部ゆみ子/楠本郁子(交替出演)
精霊(プリンシパル):吉本泰久/丸尾孝子/西川貴子
精霊(ソリスト):西山裕子/川村真樹/寺田亜沙子/市川透/陳秀介/グリゴリー・バリノフ/貝川鐵夫/冨川祐樹/マイレン・トレウバエフ(交替出演)
精霊:さいとう美帆/寺島まゆみ/千歳美香子/酒井麻子/堀口純/井口裕之/末松大輔/福田圭吾/泊陽平/アンダーシュ・ハンマル
極楽のヒロインたち:真忠久美子/遠藤睦子/さいとう美帆/西川貴子/西山裕子/川村真樹/神部ゆみ子/楠本郁子/丸尾孝子/寺田亜沙子(交替出演)/市川透/陳秀介/マイレン・トレウバエフ/グリゴリー・バリノフ/貝川鐡夫/井口裕之/小笠原一真/末松大輔/アンダーシュ・ハンマル

感想

初日を見た感じでは、感動、とまではいきませんでした。好き嫌いの判断も今のところまだ保留。一目で気に入ったとは言いにくい(笑)。すごくいい場面と、間延びする場面とがありました。思うにこれは、オペラを使っての舞踊作品の難しさなのかもしれません。グルックの曲は美しいと思いましたが、舞踊に置き換えるには長かった気も。

バレエならば、例えばマイムや数分のパ・ド・ドゥなどで、その時の感情が一目瞭然なのに、その感情をオペラの歌詞で伝えるとなると「舞踊」には長過ぎる時間となってしまう。結果、ダンサーに長時間のダンスを強いたり、あるいは間延びしたり、と。正直、2幕に仕立てるのは無理があるかな、という気がしました。オペラの「オルフェオのエウリディーチェ」に慣れ親しんでいれば、また違う感想を持ったのかな、という気もします。

いずれにしても、判断は保留。少なくとも、他のキャストはどう踊るのか、今日のペアの2回目はどう変化するのか、見られるだけ見てから(笑)。全体的に暗めなので、集中力を上げておかないとキツい作品なのは間違いないです。私の両隣りの年配の男女(一方はオペラファン、一方はオペラと海外バレエは見る方、とお見受けしました)は1/2幕とも途中で夢の中、でしたからね。

さて、最初に舞台上の山本さんを見た時にずいぶん顔が痩せたなーと思ったのですが、観賞後、あの振付なら痩せるのも無理はないと思いました。それくらい、オルフェオ役はハードです。全体に激しい振付なのですが、オルフェオはほとんどずっと舞台に出ずっぱりですし、激しいリフトも満載。いや、オルフェオ役だけでなくどの役もかなり大変そうでした。踊れる振付家による作品なので、ダンサーたちもかなり鍛えられたのではないでしょうか。

ダンサーの力量が役を魅力的にもその反対にも見せるように、歌手の力量も役の印象に大きく影響していました。歌手とダンサーは同じ人間を演じている訳で、2人のバランスが取れたときが一番面白いのだ、と。正直言って、山本さんのオルフェオの役作りと歌手の方の役作りが噛み合っていなくて、(山本ファンからすると)山本さんのオルフェオの魅力が削がれてしまっていました。この歌手の方はとてもフレッシュな感じでそれが持ち味なのでしょうが、山本オルフェオには「甘ちゃん」過ぎたというか。それに、どうも歌詞がカタカナっぽいというか曲に乗れてないような印象で、どうも気をそがれてしまいました。

女性歌手の方は2人ともよくて、特にエウリディーチェ役の國光ともこさんは声質も声量も表現力もすばらしかった。彼女が歌うと場が引き締まってドラマティックになるんです。歌手の力量なんて私みたいなド素人には判らないと思っていたのですが、一目(耳)瞭然なんですね。

エウリディーチェに関しては、特にウォルシュが振付けてはなさんが踊っているせいか、「マノン」を思い出す瞬間が何度かありました。ウォルシュは「マノン」のはなさんのイメージで役を膨らませたのかしら。はなさんも自分のキャラに引き寄せて仕上げてきたので、今日のエウリディーチェは愛に対してとても貪欲。はなさんは目から表情から腕から脚からつま先から、もう全身で台詞を語っていて素晴らしかったです。しかし、すっかりコンテの体型になっちゃったなー。ちょっと淋しい。

この作品は、キャストによって全く別の印象を与えてくれそうなので、それはとってもとっても楽しみです。

他のダンサーたちも、ものすごくよく踊っていたと思います。ドミニク・ウォルシュの振付はアクロバティックなリフトを多用したもので、男性陣のリフト筋とか女性陣のリフトされ筋(なんだそれは)は相当鍛えられたのではないでしょうか。特にアムールの男性陣はリフトお疲れさま(笑)。

印象的だったのは、精霊の吉本泰久さん!もう本当に完全復活ですね。踊りのキレが戻ってそれは素晴らしかったです。それと、極楽のヒーロー/ヒロインたちの真忠久美子さんの踊りがとても美しかったです。極楽メンバーの中で一番目をひきました。素材の良さもあるでしょうけど、ムーヴメントも上半身の開き方も綺麗。ほれぼれしました。古典より生き生き踊っていたような印象も。

舞台美術とか演出は、割と面白かったです。エウリディーチェの投影はなくてもいいかなーって気もしたけど、迷路を投影したのは上手かった。リフトの多用といい舞台上方の空間を意識した作りといい、ウォルシュの演出は立体的で面白かったです。新国立劇場中劇場という箱を上手く使っていたのではないかしら。

カーテンコールには初日ということもあって、ウォルシュだけでなく、美術スタッフ(含スピナテッリさん)も登場しました。

最後に1つだけ。
衣装はルイザ・スピナテッリに頼む必要は全くなかったのではないだろうか、と思えてなりませんでした。吉本さんの精霊が出てきた時に、デュラン・デュラン「ハングリー・ライク・ザ・ウルフ」のPVを思い出しちゃったよ〜(って古いな、相当)。

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管理人:ゆう

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