- 2006/05/06 01:36|
- Category: ボリショイ・バレエ|
クレジット
台本:マリウス・プティパ、セルゲイ・フデコフ(sergei Khudekov)に基づく、ユーリー・グリゴローヴィチ版
振付:マリウス・プティパ(Marius Petipa)
改訂振付:ユーリー・グリゴローヴィチ(Yury Grigorovich)=1991年
音楽:ルードヴィヒ・ミンクス(Ludwig Minkus)
装置:ワレリー・フィルソフ(Valery Firsov)、ニコライ・シャローノフ(Nikolai Sharonov)
衣装:ニコライ・スヴィリッチコフ(Nikolai Sviridchik)
装置・衣装はワレリー・レヴェンタリィ(Valery Leventhal)の指導による1877年原典の復元
ワフタング・チャブキアーニ(Vakhtang Chabukiani)版、ニコライ・ズブコフスキー(Nikolai Zubkovsky)版、コンスタンティン・セルゲイエフ(Konstantin Sergeyev)版からの抜粋を含む。"影の王国"はオリガ・ヨルダン(Olga Lordan)、フョードル・ロプホーフ(Fyodor Lopukhov)版による
指揮:パーヴェル・クリニチェフ(Pavel Klinichev)
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団(Tokyo City Philharmonic Orchestra)
東京文化会館
キャスト
ニキヤ:ナデジダ・グラチョーワ(Nadezda Gracheva)
ドゥグマンタ−ラジャ:アレクセイ・ロパレヴィチ(Alexei Loparevich)
ガムザッティ:マリーヤ・アレクサンドロワ(Mariya Alexandrova)
ソロル:ウラジーミル・ネポロージニー(Vladimir Neporozhny)
大僧正:アンドレイ・スィトニコフ(Andrei Sitnikov)
トロラグワ--戦士:ヴィタリー・ミハイロフ(vitaly Mikhailov)
奴隷:キリール・ニキーチン(Kirill Nikitin)
マグダヴェーヤ−苦行僧:ヤン・ゴドフスキー(Yan Godovsky)
アイヤ−奴隷:エヴゲニア・ヴォロチコワ(Evgenia Volochkova)
ジャンペ:ジュ・ユン・ぺ(Joo Yoon Bae)、スヴェトラーナ・グニェドワ(Svetlana Gnedova)、スヴェトラーナ・パヴロワ(Svetlana Pavlova)、アナスタシア・スタシケーヴィチ(Anastasia Stashkevich)、アナスタシア・クルコワ(Anastasia Kurkova)、ユリア・ルンキナ(Yulia Lunkina)
パ・ダクシオン(第2幕):ユリア・グレベンシュチコワ(Yulia Grebenshchikova)、オリガ・ステブレツォワ(Olga Stebletsova)、ネリ・コバヒゼ(Nelli Kobakhidze)、ヴィクトリア・オシポワ(Victoriya Osipova)、パーヴェル・ドミトリチェンコ(Pavel Dmitrichenko)、エゴール・クロムシン(Egor Khromushin)
太鼓の踊り:アナスタシア・ヤツェンコ(Anastasia Yatsenko)、ヴィタリー・ビクティミロフ(Vitaly Biktimirov)、アンドレイ・ボロティン(Andrei Bolotin)
黄金の仏像の踊り:岩田守弘(Morihiro Iwata)
マヌー(壷の踊り):アンナ・レベツカヤ(Anna Rebetskaya)
影の王国
第1ヴァリエーション:エカテリーナ・クリサノワ(Ekaterina Krysanova)
第2ヴァリエーション:ナターリヤ・オシポワ(Natalia Osipova)
第3ヴァリエーション:アンナ・ニクーリナ(Anna Kikulkina)
感想
ソワレは1階の前方センター席でした。まずグラチョーワ、素晴らしかったです。私は生で彼女を見るのは初めてで、10年以上前の映像でしか彼女を見ていなかったので、最初に登場した時は(席が近いこともあり)「あ、、、そっか、映像から10年以上経っているのよね」と変に現実に戻ってしまったのですが、そんなことはすぐに忘れてしまいました。四肢のほんの小さな動きにも心がこもっていて感情がほとばしるの。ドラマティックで素晴らしいニキヤでした。踊りの見せ場も心得ていて、長いバランスなど「ボリショイのプリマはこうやって観客を楽しませるものよ」と言っているかのように魅せてくれました。ビデオで見た10年前の彼女からすると多少衰えはあるかもしれませんが、それを補ってあまりある感情面での表現に、ひたすら感動しました。
アレクサンドロワは文字通り光り輝いていました。私は彼女を見るのはたぶん前回のバレエフェス以来で、その堂々とした姿がひたすら嬉しかったです。愛されて育ったラジャの娘なのはシプリナと同様ですが、もしかしてここんちのラジャはホントは男の子がほしかったんだけど恵まれなかったので、ガムザッティに跡取りとしての教育を施したのかも、あるいは奥方が早くに亡くなって小さい頃からガムザッティが召使いを使って家を取り仕切ってきたのかも、と思えるような落ち着いた物腰。登場した後の広間でのヴァリの後、トロラグワたち戦士たちのセンターに立つアレクサンドロワ、エレガントでゴージャスなのにそのまま出陣してもイケそうでした(笑)。なので、ソロルをお迎えして手に手をとって歩く時に彼を見つめる表情は「ようこそ未来の婿君(ぎみ)、おもてなしさせていただきますわ」と女主人のようでした。
踊りはひたすら安定していました。1幕最後の「あんな女殺してやるわ」のポーズもゾクゾクする程迫力があって、あとほんの数秒でもいいから見ていたかった位。2幕の婚約式ではニキヤが踊っている間も表情1つ変えずにあごの下に手の甲をあてて(いるように見えた)「嘆きなさい、彼はあなたには手に入らないのよ」と言っているかのよう。ここまでキモの座ったガムザッティは初めて見たかも。いいもの見ましたわー。
ソロル役のネポロージニーですが、出てきた瞬間からヘタレっぽい奴でした(笑)。踊りのタイプとか持っている雰囲気はウヴァーロフとよく似ていますねー。ウヴァーロフが大好き、という程でもない私ですら、彼が踊っている向こうにウヴァーロフの幻影が見えました。女性陣の体格がよくて大変そうではあったけど、踊りもサポートもとても丁寧だったと思いますし、すごくがんばっていたと思う。私の席からだとどうも踊るたびにグラチョーワやアレクサンドロワに「ああしてこうして」と言われているように見えてしまって(笑)、余計にヘタレ度がアップ。2幕の婚約式のパ・ド・ドゥ、最後はガムザッティとパ・ダクシオンの人たちで終わりますよね。マチネではガムザッティが1度レヴェランスをしたあとでフィーリンが登場して一緒に改めてレヴェランス、だったんですが、ソワレでは最初からネポくんが飛び出してきちゃったのね。アレクサンドロワに「まだよ」とでも言われたのか、「あ、」って顔で数歩後ずさってました(笑)。アレクサンドロワは涼しい顔で拍手喝采を全身で受け止めていたので、可笑しくて可笑しくて。ま、いずれにしてもこのソロルくんはどっちの女と結婚しても尻に敷かれそうだわね。
そういう意味では、主役3人のキャラがうまくかみ合っていたようではありました。このニキヤとガムザッティなら、ネポロージニーがソロルを踊るのが一番話が合うというか。それくらい「そうだ、この話はぜーんぶソロルが悪いんだよね、最後死んじゃっても自業自得よ」と思えるソロルくんでした。最後死んじゃうといえば、ネポロージニーは明らかに最後絶命してたと思うんですが、マチネのフィーリンは死んではいなかったかも。失神したのかもしれないし、その辺はダンサーの解釈なんでしょうかねぇ。もう1人のキャラ立ちソロル、私は見られなかったツィスカリーゼはどうだったのでしょうか。
ソワレのブロンズ・アイドルは岩田さん。いいなぁ、見事な仏像っぷりでしたよ。拍手も一際大きかったです。影のヴァリはソワレも第1ヴァリが気に入りました。マチネとは別の、クリサノワというダンサーだったようです。近くで影たちのアラベスクを見るのもよいけど、やっぱりここは上から見る方がよりすばらしいですね。永遠性を実感できます。パ・ダクシオンの男性陣は昼夜とも同じコール・ドのコたちでしたが、アレクサンドロワを持ち上げる前は明らかにお腹の底に力を入れていたのがわかりました(笑)。両公演シングルキャストの中では何と言ってもマグダヴェーヤのヤン・ゴドフスキーがすばらしかった。ソワレの時に近くからオペラグラスで見たら左手薬指に指輪したままでしたが(笑)、踊りもお顔もプロポーションも目を引く存在でした。「パッサカリア」の映像でルンキナと踊っている彼だよね。あとでその映像、もう1度じっくり見ようっと。
ああ、ボリショイってホントによいバレエ団だなー、いい舞台だったなーというじんわりとした幸福の上に、グラチョーワのニキヤを見られた歓喜がどーんと乗っかって、この上も無く幸せな気持ちで帰途に着きました。がんばって劇場に来てよかった。
- Newer: 「こうもり」新国立劇場バレエ(2006/05/21)
- Older: 「ラ・バヤデール」ボリショイ・バレエ(2006/05/04M)