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シルヴィ・ギエム「愛の物語」Bプロ(2005/05/06)

東京文化会館

「三人姉妹」

振付:ケネス・マクミラン/音楽:P.I.チャイコフスキー/編曲:フィリップ・ギャモン/美術:ピーター・ファーマー/照明:ジョン・B.リード
ピアノ:フィリップ・ギャモン

マーシャ:シルヴィ・ギエム
イリーナ:イザベル・シアラヴォラ
オリガ:ドルー・ジャコヴィ
ヴェルシーニン中佐:ニコラ・ル・リッシュ
クルイギン:アンソニー・ダウエル
ソリョーヌイ船長:アンドレア・ヴォルピンテスタ
トゥーゼンバッハ:ルーク・ヘイドン
ナターシャ:シモーナ・キエザ
アンドレイ・プロゾロフ:マシュー・エンディコット
チェブトイキン医師:オリヴィエ・シャヌ
アンフィーサ:ニコール・ランズリー
士官:ギャビン・フィッツパトリック、マシュー・グラハム、ダンカン・ヒューム、トーマス・サプスフォード

でかい3姉妹でした(笑)。映像の「3人姉妹」では、冒頭と最後の三姉妹が抱きしめ合うポーズの時にイリーナ役デュランテがポワントで立つところがツボだったのですけれど、この3人ではそれは望むべくもないですねぇ。オリガ役のドルー・ジャコヴィは背はギエムより高いけれど、長女っぽくはなかったかな。前回のニコラ・トラナさんが舞台全体を包むような大きな存在だったので、彼女の不在が淋しかったです。

この作品も割とさらりと流れてしまったように思うのですが、再演でそれぞれの役作りがスマートになりすぎっちゃったのかしら?と思ったりしました。全体的に切なさが不足してるように思えたのですけれど、受け取るこちらが期待しすぎたのかしら。その中ではやはりダウエル卿が際立っていました。あとは、うーん、ニコラとギエムの組み合わせって素敵だと思うけど、期待した割にはうまくツボに入らなかったです。静かに淡々と進む日常に登場した「非日常」のハズのヴェルシーニンが、普通になじんで登場したからかなぁ。あるいは、仕事後に慌てて滑り込んだので上手く気持ちが劇中に入り込めなかったのかもしれません。乗り切れずに終わってしまって残念でした。

カルメン−《愛の物語》の為の特別ハイライト版−

振付:アルベルト・アロンソ/音楽:ジョルジュ・ビゼー、ロディオン・シチェドリン/装置・衣装:宮本宣子
指揮:アレクサンダー・イングラム/演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

カルメン:イザベル・シアラヴォラ
ホセ:マッシモ・ムッル
エスカミリオ:アンダース・ノルドストローム
ツニガ:アンドレア・ヴォルピンテスタ
運命(牛):ドルー・ジャコヴィ
女性ソリスト:ニコール・ランズリー、村上華菜
男:ギャビン・フィッツパトリック、マシュー・グラハム、ダンカン・ヒューム、トーマス・サプスフォード、平野玲、野辺誠治、長瀬直義、宮本祐宣、横内国弘、田中俊太朗

ムッルのホセに陥落しちゃいましたよ。生真面目さ、美しさ、哀しさのどれもが自然にムッルに寄り添っていたし、アロンソ版の踊りもとても自然に踊れていました。前回首藤さんで見た時にもすばらしいと思いましたが、それとはまた別の感激で、見られてよかったなーと思いました。シアラヴォラは脚の美しさに見ほれましたが、カルメンならばプティ版が似合いそう。アロンソ版にはもっと強さとかたくましさが欲しい気がします。

ツニガは個人的には後藤晴雄さんの方が好みでした。エスカミリオは悪評だらけだったのでどうかなーと思っていましたが、それほど悪くはなかったような。最終日だったので、踊りは日を追ってよくなってきたんじゃないでしょうか。ただ、身長的に、運命役のジャコヴィと一緒に踊るのはキツいですよね。ムッルのホセと並べると、やっぱり「カルメンがエスカミリオに惚れるのは理解できないな」という感じで、難しいキャストではありますよね。

今回は外国人キャストだったので、どれくらいすごいものを見せてもらえるかと思っていたのですが、さほどではなかったというか。アロンソ版の土臭さが洗練されて消えてしまったのかもしれませんね。

「田園の出来事」

振付:フレデリック・アシュトン/演出:アンソニー・ダウエル、グラント・コイル/音楽:フレデリック・ショパン/編曲:ジョン・ランチベリー/衣装・装置:ジュリア・トレヴェリアン・オーマン/照明:ウィリアム・バンディ
指揮:アレクサンダー・イングラム/演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

ナターリヤ:シルヴィ・ギエム
ベリヤエフ(家庭教師):マッシモ・ムッル
ラキティン:オリヴィエ・シャヌ
ヴェラ(養女):小出領子
コーリア(息子):アルベルト・モンテッソ
イスライエフ:ルーク・ヘイドン
カーチャ(メイド):ニコール・ランズリー
マトヴェイ(従僕):トーマス・サプスフォード

今回の3作品(Aプロを含めた5作品でも)の中では一番この作品がよかったです。持ってきてくれてありがとう!と心の底から思いました。席が前の方だったので、床にも模様があったというのは後で他の方がネット上にアップされたレビューを拝見して知ったのですが、本当に隅から隅までこだわった美しいセットで、見ていて幸せでした。それと、ブルーとクリームイエローをアクセントにした衣装も美しかったです。これは1度だけでなくあと何回か見たかったなぁ。

ギエムもこの作品が一番よかったです。家庭教師と子供たちと4人で踊る時の天真爛漫な笑顔、相手にならないハズのヴェラに我を忘れて怒っちゃうところ、そして、去ってしまったベリヤエフを思って泣きじゃくるところ、いやー魅せてくれました。ムッルのこんな笑顔もあまり見られないかも。コーリアをかわいがったり、ヴェラの一途な求愛も好ましくかわいくおもったり、メイドとも楽しく遊んだり、そして1度去った後戻ってきてナターリヤのリボンにキスする所なんてすばらしい〜。アシュトンの作った作品もすばらしいと思うけど、それを生き生きと見せてくれたダンサーたちに、ホントに感謝です。

ヴェラを踊った小出領子さんも素敵で嬉しくなりました。元々ファンではあるのでひいき目もあるかな?でも、役に上手くハマっていたし、彼女にとってこの作品は大きな財産になっただろうなー。コーリアのモンテッソもよかったです。あのヴァリエーションは熊川さんがローザンヌで踊ったものですよね。「田園の出来事」を上演すると聞いて、それを見られるのを楽しみにしてました。ルーク・ヘイドンのイスライエフはちょっとお間抜けなご主人さまだけど、だからこそ不倫もののわりには明るい作品として見られるのかも。

でもでも、それもこれもあの重厚な装置と素敵な衣装で生かされたと言えるかも。本当にすばらしいセットでした。この作品はパ・ド・ドゥやヴァリエーションはところどころ見た事があっても、全体での映像は市販されていないですよね?アシュトン生誕100周年の公演もあったことだし、映像化してほしいなぁ。えっと、ぜひベリヤエフはムッルで(笑)。

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