- 2004/07/19 22:40|
- Category: モンテカルロ・バレエ|
クレジット
原作:ウィリアム・シェイクスピア/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ/振付:ジャン=クリストフ・マイヨー/美術:エルネスト・ピニョン=エルネスト/衣装:ジェローム・カプラン/照明:ドミニク・ドゥリヨ
オーチャードホール
キャスト
ジュリエット:クシャ・アレクシ
ロミオ:アシエ・ウリアゼレカ
ローレンス神父:ガエタン・モルロッティ
キャピュレット夫人:パオラ・カンタルポ
ティボルト:ジェンス・ウェーバー
乳母:サマンタ・アレン
マキューシオ:オリヴィエ・ルセア
ベンヴォーリオ:ジュリアン・バンシヨン
パリス伯爵:ジェローム・マルシャン
ロザライン:オーレリア・シェフェール
感想
初めて見るモンテカルロ・バレエ、とても楽しかった〜。ロレンス神父(=ガエタン・モルロッティ)が「運命を操る使者」という役割を持っていて、モンタギュー/キャピュレット両家のいさかいよりもロメオとジュリエットの恋と運命の行方にフォーカスを当てた作品。
ジュリエット(=クシャ・アレクシ)は出てきた瞬間がとても大人っぽく、それはたぶん、私がマクミランのロメジュリを見慣れているから、かな。実際、恋愛に傷ついた大人が恐る恐る恋の1歩を踏み出すような繊細さえも感じる場面があったりして、ただ最初から恋に猛然とダッシュしてるワケではないというか。。色数を抑えた美しく洗練された衣装(本当に好き〜)と本当にシンプルな舞台装置が「大人感」を更に増幅させていて。
第一印象は「大人っぽい!」だったアレクシ、恋する女のコの生き生きした表情もすごくかわいくて、大人と少女の入り交じった感じが絶妙でした。たまにちょっと振りがバタついて、「ここはコピエテルスだったらもっと違う印象を受けたかも」と思ってしまうことがあったけど、おおむね満足。
ロメオ(=アシエ・ウリアゼレカ)は、可愛かった。母性本能をくすぐるタイプなのかなー、華があるとは言えないし、どっちかというと野暮ったく見える位なのに目が離せない、不思議な存在感。何でだろう?と思いながら視線が彼を追っていて、気付いたらロメオに感情移入しまくりでした。もしかしたら、ロメジュリは私にとって「ロメオの物語」なのかも。
その彼がティボルトにもキャストされているというのがびっくり。しかもマイヨー版のティボルトはキャピュレット夫人(=パオラ・カンタルポ)とそういう関係であるのが明確だし、ロザリンド(=オーレリア・シェフェール、美脚っ!すてきだったー。)ともそんな感じ。そういうセクシーかつ熱情家のティボルトをウリアゼレカがどんな風に踊るのか・・・気になります。どうやら今回の日本公演では第一キャストのローラントが怪我でロメオを踊らなかったらしく、ウリアゼレカはずっとロメオだったようだから日本公演では彼のティボルトは見られなかったようなんですけどね。今の彼が踊るティボルトを見てみたかったなー。
今回のティボルトはジェンス・ウェーバーで、彼にはセクシーかつ熱情家なティボルトがぴったり。魅力的でした。また、マクミラン版では美しい(くないこともあったけど)けれどそう魅力的なキャラクターとしては描かれないパリスがここでは(=ジェローム・マルシャン)ワル風味というか、ジュリエットを性的対象として欲する男として描かれていたのも面白かった。大人の世界を象徴する存在、なのかなー。群舞までみんな、出てくるダンサーが男も女もスタイルがよくて色っぽい身体なのも感心。
印象的だったのは、2幕の街角の場面でロメオたちが人形劇を見るところ。それは運命を象徴するロレンス神父と2人の従者が演じているもので、明らかにロメオとジュリエットの運命を人形劇にしたものなのだけど・・・仮死状態のジュリエットを死んだと思ったロメオが後を追って・・・という劇中の場面の前にロメオ(とベンヴォーリオだったかな?)は笑いながら退場してしまうの。あー、最後まで見てたら運命を変えられたかもしれないのに、と切なかった・・・。
マキューシオはティボルトに殴り殺されロメオはティボルトを絞殺するというのは、マクミラン版の「いつものおふざけがちょっとした手違いで重大な結果を引き起こした」感に比べて、なんというか決定的な感じだよね。ロメオがティボルトを追いかけていく時のスローモーションは、上手い!と唸る一方で、人を絞め殺すというその時間の長さが「ロメオは逆上しただけでティボルトを殺したワケではなく、この男を殺すという明確な意図があったのねー」と。
そして、仮死状態のジュリエットの傍で命を断ったロメオ(泣けた・・・)に気付いた瞬間のロレンス神父の絶望的な表情。目覚めたジュリエットの幸せそうな笑顔が絶望と悲しみに変わって死を選ぶまで、少し離れたところでそちらを見ることもできずに無力感に苦しむロレンス神父の存在は、彼自身が運命にもてあそばれているようで、二重の悲劇。切ない幕切れ。
プロコフィエフの音楽の雄弁さにも、改めて感激。曲順などの構成は変えているけれど使われる音楽はそれぞれの場面に合っているもので、春に新国「ロメジュリ」を集中して見たばかりのせいか、舞台上で起こっているコトを後押しする音楽の力を感じたというか・・・。で、今ふと思ったのだけど、もしかしたら、バレエに足しげく通うようになった今見たから、この作品をすごく好きになったのかも。バレエ初心者の頃だったらピンとこなかったかもしれないし、ロメジュリ集中観賞の前だったら、またちょっと違う印象を受けたかもしれないな、と思うもの。
舞台装置と衣装が一番気に入ったと言って間違いではない位ですが、演出・振付とダンサーの存在感ともバランスがよくて、よいものを見たなー、見に行ってよかったなー、と。コンテンポラリーの中でも、クラシック好きな私にとても入りやすい作品だったし。ぜひ映像化してほしいなー。