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「ジゼル」東京バレエ団(2004/04/24)

クレジット

振付:レオニード・ラヴロフスキー/改定振付(パ・ド・ユイット):ウラジーミル・ワシーリエフ/音楽:アドルフ・アダン/美術・衣装:ニコラ・ベノワ
指揮:ミッシェル・ケヴァル/演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
東京文化会館

キャスト

ジゼル:ディアナ・ヴィシニョーワ
アルブレヒト:ウラジーミル・マラーホフ
ヒラリオン:木村和夫
バチルド姫:井脇幸江
クールランド公爵:後藤晴雄
ウィルフリード:森田雅順
ジゼルの母:橘静子
ペザントの踊り(パ・ド・ユイット):高村順子−中島周、武田明子−大嶋正樹、小出領子−古川和則、長谷川智佳子−後藤和雄
ジゼルの友人(パ・ド・シス):奈良春夏、大島由賀子、福井ゆい、西村真由美、乾友子、高木綾
ミルタ:遠藤千春
ドゥ・ウィリ:福井ゆい、大島由賀子

感想

ヴィシニョーワのジゼルってどんなかなーと思いながら出かけた公演です。なので、まずヴィシニョーワについて。その印象を乱暴に一言で片づけるとするならば「体温の高いジゼル」、かな。アルブレヒトのノックに誘われて出てきた瞬間から、彼女がどうしようもなく恋に夢中なのがわかります。今まで見た他のジゼルたちももちろんそうなのだけど、ヴィシニョーワのそれは数歩分大人の恋に見える。妖艶とか艶然とかいう言葉が似合ってしまうんですよね。ヴィシニョーワの持つ雰囲気のせいもあると思うのですが、踊りにもそんな印象を持ちました。腕から指先のかけての感じでしょうかねー。そういえば花占いの場面で、ベンチに腰掛ける時にスカートを広げてアルブレヒトが横に座れないようにする、という少女らしい手管が省略されていました。この辺も含めて従来のジゼル像とは違うアプローチってことなのかなー。衣装は薄いピンクで髪やエプロン(?)に花飾りのついたかわいらしいものでした。

2幕の衣装もちょっと違っていましたね。こちらでもやっぱり「体温高め」感がありました。踊ると躍動感が出てしまうのかなー。伏し目でポーズをとっているときなどは静かな美しさがあるのですが、全体的にこの世の人っぽい気がしてしまいました。技術的にはすばらしい踊りだと思うのですが、ね。

マラーホフのアルブレヒトって台詞が浮かんで見えるほど分かりやすいですよね。マラーホフのサービス精神というか人の良さの現れなのかな。貴族の戯れに村娘にちょっかいを出すアルブレヒトではなく、ジゼルに夢中で後先考えず感情のまま動くアルブレヒト。踊りの調子もよいみたいでした。百合の花をかかえてマント姿で出てくるところ、美しかったです。

さて、東バの「ジゼル」は去年夏以来2度目なのですが、比べて東バの群舞は前回よりよくなっているように思いました。1幕のパ・ド・ユイットも美しく祝祭感たっぷりで楽しめました。男性では中島周、女性ではやっぱり武田明子に目が吸い寄せられてしまいます。でも、それぞれのダンサーをもっとじっくり見たい気がするので、4組の踊りはちょっともったいない気も。4組だからこその祝祭感とも思いますが。

木村ヒラリオンは熱い熱いハートの持ち主で、私はけっこう好きです。ヒラリオンが1幕で村人たちと一緒に踊るのは前回は気がつかなかったみたいで、ヒラリオンが楽しそうに踊る場面があるというのはいいなーと思いました。バチルド姫の井脇幸江さんは、ジゼルが発狂したあとの演技が秀逸、だったそうですが、私の席からはよく見えなかったんです。とっても残念。

遠藤さんのミルタは初めて見ましたが、背が高いとあの衣装が映えますね。あまり怖くないミルタで、静かで美しいのですが「ええいっ、男許さじっ」みたいな怒りは見えず、淡々としていたように思います。ちょっとアクシデントが続いて気の毒だったのですが、哀しみとか怒りとかの感情が見えてくるといいなーと思いました。

2幕のコール・ド・ウィリも足音に気をつけてよく踊っていました。腕や脚の動きがほんのちょっとだけ元気がいいというか、微妙に幻想感が失われているような気もするのですが、それは注文のつけすぎでしょうかねぇ。1月に見たマールイのウィリたちが本当に美しかったので、ついそれを期待しちゃうのかもしれませんね。

会場の撮影隊が入っていました。そのせいか?オケもソトニコフさんもすごーく気合いが入っていて演奏がすばらしかったです。ヴィシニョーワとマラーホフの2幕のパ・ド・ドゥなどはかなりゆったりとした演奏で2人をたっぷりの情感で踊らせていたのが特に印象に残っています。そして終了後にソトニコフさんがオケの各パートに感謝の投げキスの嵐を降らせていたのも微笑ましかったです。映像に残ることを念頭に置いていたのかもしれませんが、オケもよく応えたってことでしょうね。新国立劇場で連日むにゃむにゃなプロコフィエフを聴いていたせいか、「ジゼル」の演奏がすーっと身に染みました。

終演後、近くにいた男性が連れの女性に「今日のジゼルがよくないっていったら、どこにいいジゼルがあるの!」みたいに興奮して話していたのを耳にしたのですが・・・うん、確かに技術的にはすごかったのかもしれないですねー。これはこれで「あり」なんでしょう。でも、なんかちょっと違うー、他にもいいジゼルはいっぱいあるよー、と心の中で反論してみた帰り道でした。

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管理人:ゆう

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