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「こうもり」新国立劇場バレエ(2003/12/21)

クレジット

振付:ローラン・プティ/音楽:ヨハン・シュトラウスII世/舞台美術:ジャン=ミッシェル・ウィルモット/衣装:ルイザ・スピナテッリ/照明:マリオン・ユーレェット、パトリス・ルシュヴァリエ/舞台美術・照明補佐:ジャン=ミッシェル・デジレ
指揮:デヴィッド・ガルフォース/演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
新国立劇場オペラ劇場

キャスト

ベラ:草刈民代
ヨハン:山本隆之
ウルリック:吉本泰久
メイド:楠元郁子
グランカフェのギャルソン:奥田慎也、マイレン・トレウバエフ、グレゴリー・バリノフ
フレンチカンカンの踊り子:大森結城、西川貴子、前田新奈
チャルダッシュ:マイレン・トレウバエフ、遠藤睦子、西山裕子、鹿野沙絵子、川村真樹、鶴谷美穂、丸尾孝子
警察署長:ゲンナーディ・イリイン
ヨハン(歌):樋口達哉

感想

プティの「こうもり」を見てきました。初演時のキャストがそのまま今回も役を演じた、ということでよいのかな?初日の幕が上がるまでに、ヨハン役の森田健太郎、ウルリック役の小嶋直也がそれぞれ怪我で(回復が遅れてということかと)降板したため、山本隆之と吉本泰久がそれぞれ3日連続の出演となり、キャストとしてはベラだけが日替わりということになってしまいました。

今シーズンは新国立の各演目初日のチケットをセット券で買っているため(イーサンのためよんっ☆)「こうもり」は草刈さんの日な訳ですが、そうでなければ湯川さんの日を買っていたと思います。プティは草刈さんのこと意外とお気に入りなのかもしれませんが・・・(以下自粛)。かといって年末ぎりぎりに何度もバレエに出かけるのは無理がある、ということで、今日は山本さんを見るために(笑)行ってきました。

まずは、洗練された舞台装置に感心しました。衣装もおしゃれだったと思いますが、中には一部「日本人にはもしかしてちょっとキビシイか・・・」というようなものも。10月の「THECHIC」で抜粋を見た時にも思ったのですが、2幕6場・監獄のシーンで、どうしてベラはあのひときわゴージャスなマントの下に肌色タイツに同色のレオタード姿なんでしょう?何も飾りのない「ベラ」自身であるという象徴?

草刈さんは、さすがにお美しかったです。演目のせいか、体の固さとか技術的なこととかはあまり気にならなかったし、プロローグの青いドレス姿は本当に艶やかでした。でも、ねー。この演目を初めて見る私なので他と比べようがないんですが、ヨハンが彼女を振り向かないのは「いかにも専業主婦で新鮮味がない」からじゃなく、その最初から見え隠れする「ちょっと余分な媚」のせいなのでは?とか、思ってしまいました。

「こうもり」の妙味は、このベラが「夫にとって面白みのない家庭の主婦」から「艶やかで謎めいた女性」に劇的に変身し、それによって夫が妻に翻弄されるところなのではないかしら?草刈さんは、表情などで健闘していたとは思いますが、演じ分けという点では物足りなかったです。

それと、山本さんもちょっと弱かった。こうもりになって遊びに行く前のソロはとっても嬉しそうでよかったのですが、それ以外は表情とか踊りから伝わってくるものが弱かったように思いました。最初にベラにそっけなくするところや、マキシムでベラに焦らされて熱くなっていくところ、最後に家庭生活の象徴であるスリッパを受け入れるところの表情とか演じ分け、その辺りがもっとこちらに伝わってくると、また面白みが出たんじゃないかなー。

あ、でもテノールの方のソロに合わせた口パクはぴったりでしたね(笑)。踊りの方は、パ・ド・ドゥはちょっと大変そうに見えましたが、ソロはとても美しく踊っていたと思います。フライングもとても美しかったと思います。あと2日、無事に踊りきって下さいね〜。なんだかんだ言ってやっぱりかっこよかったです。黒ずくめの衣装より、燕尾服の方がいいみたい。

とまぁ、主役のお二人がそんな感じだったので、最後までなんとなく愛の薄いままの2人に見えてしまって、ちょっと残念でした。

そんな中で素晴らしかったのがウルリックの吉本さん。「マノン」の物乞いのリーダーも「シンデレラ」の道化もすばらしかったですが、このウルリックも本当によいですねー。表情といい、おどけるタイミングといい完ぺきでした。山本さんにもこれくらいあざとくやって欲しかったのよ(褒めてます)。彼は客席を手中に収めてました。彼がこれだけ素晴らしいと、じゃあ小嶋さんはどう踊っただろうか・・・と思ってしまいますよね。見たかったなー。吉本さんにとってはこの3日間は(本当にキツイでしょうが)大きな財産になるのではないかしら。

メイドの楠元さんもかわいらしかったー。表情が豊かで、ついつい雇い主の事情に耳を傾けちゃうような、好奇心を抑えられないタイプのメイドさん。吉本さんとの場面も楽しかったです。ギャルソン3人組もすばらしかった!けっこうハードな踊りだったと思いますが、音楽にのってピシッと決めていてかっこよかったです。楽しんでいるように見えましたし、彼らが出てくると安心感がありますね。舞台が引き締まる感じがしました。

たぶん、初演時の緊張感が少し抜けて余裕を持って演じていたのか(?)全体的に少し間延びした印象はあったものの、あのキラキラ「シンデレラ」のすぐ後だけに受け手側の問題かもしれないな、という気もしています。また再演されるのであれば、いろんなキャストを見比べてみたいなーと思いました。

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管理人:ゆう

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