- 2003/01/19 21:47|
- Category: 東京バレエ団|
東京文化会館
演目とキャスト
「ギリシャの踊り」(東京バレエ団初演)
振付:モーリス・ベジャール/音楽:ミキス・テオドラキス
イントロダクション
パ・ド・ドゥ(二人の若者):大嶋正樹−古川和則
娘たちの踊り
若者の踊り
パ・ド・ドゥ:吉岡美佳−中島周
パ・ド・ドゥ(ハサピコ):井脇幸江−木村和夫
テーマとヴァリエーション
ソロ:後藤和雄
パ・ド・セット:早川恵子、荒井祐子、太田美和、高村順子、門西雅美、小出領子、長谷川智佳子
フィナーレ:全員
「ドン・ジョヴァンニ」(スペシャル・ガラ・ヴァージョン)
振付:モーリス・ベジャール/音楽:フレデリック・ショパン
ヴァリエーション1.:早川恵子、高村順子、門西雅美
ヴァリエーション2.:荒井祐子
ヴァリエーション3.:太田美和、井脇幸江
ヴァリエーション4.:佐野志織
ヴァリエーション5.:遠藤千春
ヴァリエーション6.:吉岡美佳
シルフィード:福井ゆい
ドン・ジョヴァンニ:後藤晴雄
「ボレロ」
音楽:モーリス・ラヴェル/振付:モーリス・ベジャール
シルヴィ・ギエム
飯田宗孝、森田雅順、木村和夫、後藤晴雄
感想
初めて生で見るベジャール作品。今回の演目はどれも、クラシック作品のように「場」の変換で流れがとぎれたりすることがなく、現代振付家の作品に馴染みのない私には新鮮だった。レオタードやズボンというシンプルな衣装、照明の使い方やダンサーの配置、音楽とダンスの関係・・・どれにもベジャールそのものが強く表れていたように思えて、ハマる人はハマるんだろうなぁ、と。
また、初めて見る東京バレエ団のダンサーたちは、本当に体の線が綺麗で、動きが柔らかい。質が高いんだね。斎藤友佳理以外の主役級女性ダンサーはみんな出ていて、今後東バの公演チョイスの参考になりそう。井脇幸江は手足が長くて雰囲気たっぷりだったので、一度全幕で見てみたいかも。吉岡美佳も綺麗。男性では後藤和雄がよい感じ。この辺の人たちが主役の全幕ものは機会があれば見てみたいなと思う。
「ギリシャの踊り」は、「うーん、どの辺がギリシャ?私にはベジャールは難しいのかしら」と思いながら見ていたのだけど、振付というよりダンサーの中から自然にわき出るような踊りで、東バの質の高さが印象に残る舞台。でもまぁ、もう1度みたいかと聞かれたら、即答はできない感じだけど。
「ドン・ジョヴァンニ」は、女性しか出ないプログラムなのだが、今回はベジャールが最後に男性のソロを挿入した、ということらしい。ステージ上にいる女性すべての憧れ「ドン・ジョヴァンニ」を表すのは一脚のいすと空間を照らすスポットライトだけ。その椅子に向かって魅力的なダンスで媚びを売る女性たちがコミカルで飽きない。ヴァリエーションの合間にシルフィード(妖精)が表れるのだけど、ピンクや黒のレオタードと巻きスカート姿の女性たちの夢の世界ってことなのかなー。よくわからなかったよ。
最後に舞台の上手から下手へセーターとジーンズ姿の「ふつーの男性」が通り過ぎるのが可笑しかった。恋する女性たちは彼をみてガッカリするのだけど、そのあと、本物のドン・ジョヴァンニが登場!・・・えっ!?モーツァルトかショパンかという「あの時代」のヨーロッパ男性のカツラと、真っ赤なユニタード(肩からおへそあたりまでU字に大きく開いているフレディ・マーキュリー風?)で踊りまくる。引き気味の客席とは逆にステージの女性たちはうっとりと彼を見つめる。
うーん、その最後のは、いらなかったんじゃないかなぁ。出てこないほうが「洒落た小品」って感じで好きでしたけど、私。
ラヴェルの「ボレロ」に振り付けたバレエはいくつかあるけど、やはりベジャールのものがスゴイと思う。映像ではジョルジュ・ドン、マイヤ・プリッセツカヤが踊るのを見てはいるが、どちらも今は生で見ることはかなわない。
今回「メロディ」を踊る首藤くんは、決して大柄ではない。でも独特の雰囲気と存在感があって目が離せない人。音楽に踊らされているかのように、だんだんと激しく「リズム」たちを挑発していく様を、息をつめて見ていた。20分の間、ボレロを踊り続けるのは相当キツい。首藤くんは苦痛とも取れるような剥き出しの表情で踊っていて、それがなんだか音楽への(あるいはベジャールへの?)生け贄の踊りのようにも思えた。
生け贄、と思えたのには、「リズム」たちの踊りも関係があるかもしれない。「挑発されて」立ち上がり踊り出したにしてはストイックで、欲望とは無関係の、なんていうかもっと、大きな何かに動かされてるかのような感じが「リズム」にもあったから。
大勢の男性ダンサー、これだけを全部正規団員でまかなうのはたぶん難しくて、見たところもう少し若い、準団員クラスが入っているようだった。それによって質が下がるようなことはなくて、全く気にはならないのだけど。もしその若い人たちが東バの準団員ならば、彼らは将来、もっと前であるいは舞台の中央で踊る可能性があるわけで、ダンサーとして一番の勉強の場であるステージで「リズム」の一部になることで、理解が深まるだろうなぁ、と。東バの層の厚さと歴史みたいなものを、感じた一瞬でもあった。
圧倒されたまま果てた「ボレロ」、やっぱスゴイ。今のところ、ベジャールの「ボレロ」は東バしか上演が許可されていないので、せっかく日本のバレエ団なんだから、やっぱり生で見るべきだわ!と。そうなると今回見逃した高岸直樹版も見たい、と思ってしまうではないか。それに今年の秋にはまたシルヴィ・ギエムが「メロディ」を踊りにくる。見に行かない手はない。
こうしてまたちょっと、私はバレエの深みにはまっていく、らしい。
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