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「くるみ割り人形」スター・ダンサーズ・バレエ団(2002/08/12)

クレジット

音楽:P.I.チャイコフスキー/振付:ピーター・ライト、レフ・イワノフ、ヴィンセント・レドモン/演出:ピーター・ライト/美術:ジョン・F. マクファーレン/照明:デイヴィッド・A. フィン
指揮:田中良和/演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団/コーラス:TOKYO FM少年合唱団
新国立劇場中劇場

キャスト

金平糖の精:吉田都
王子:佐々木陽平
ドロッセルマイヤー:本田実男
クララ:鈴木美波
ドロッセルマイヤーの助手:東秀昭
クララの母:新井咲子
クララの父:鈴木稔
フリッツ:吉瀬智弘
クララのパートナー:福原大介
ハレルキン:新田知洋
コロンビーヌ:上之恵民
ジャック・イン・ザ・ボックス:根元しゅん平
くるみ割り人形:福原大介
ねずみの王様:東秀昭
雪の精:厚木彩
雪の精のおつき:岸川まや、大岡直美、福島昌美、平井友紀
スペインの踊り:平井友紀、ピエール・ダルド、樽井裕典
アラビアの踊り:岸川まや、東秀昭、河原昌彦、東山竜彦
中国の踊り:西梶勝、根元しゅん平
葦笛の踊り:猪俣陽子、木下佳子、白椛祐子、福島昌美
ロシアの踊り:新田知洋、友杉洋之、福原大介
バラの精:小平浩子

感想

ようやくこの目で見ることができた。吉田都の金平糖の精を。ピーター・ライト版のくるみを。ああ、でも、たったそれだけを目当てに出かけていった公演は、たくさんの見所をかかえた超極上のエンターテイメントだった。翌日になってもじんわりと続く幸せ。

吉田都。彼女はうちの高校の先輩(といっても、私が入学する前にローザンヌのスカラシップを受けてロイヤルバレエスクールに入学してしまったけれど)で、だからたぶん、ちょっと思い入れが大きいかもしれない。「英国の至宝」なんてあちらでは言われているようで、正統派ロイヤルスタイルの踊りのファンは日本人だけじゃなく英国人にもたくさんいるようだ。この「くるみ割り人形」の金平糖の精は彼女の当たり役と言われていて、絶対に見ておきたいものの1つだった。

また「くるみ割り人形」の振り付けにもいくつかあるけれど、その中で名作の誉れ高いのがピーター・ライト版らしい。去年同じくスタダンでピーター・ライト版の「ジゼル」を見た時にも感じたことだけれど、まず舞台装置がゴージャスだし衣装も美しい。それを見るだけでも十分に楽しめる。

と、ここまでが出かける前までの「今日のお目当て」。

初めて出かけた新国立劇場中劇場は、1200席前後の小さな劇場で、座席の傾斜がかなりついているので前の人の頭が邪魔ということがない。客席は奥よりも横に広くて、ステージから見ると、たぶん客席が迫って見えるのではないだろうか。その分、観客の反応がダイレクトに伝わるハズ。

オーケストラの演奏が始まると、それだけで胸がジンとする。幕が開く前に泣けてきそうな感じ。遠い遠い昔に「行進曲」や「花のワルツ」でパの練習をした日々が、なにやら甘くて切ないカタマリとなって胸を圧迫する。たぶん「くるみ」だけは冷静に見てられない演目なんだろう、私にとって。

楽しみにしていた舞台装置や衣装はそりゃあゴージャスで、ダンナに言わせればtoomuchらしいのだが、私はそのおかげですっかりどっぷり夢の世界へ浸ることができた。

クライマックス、ドロッセルマイヤーの魔法でクララが金平糖の精に変身する。お待ちかねの吉田都が登場すると、ステージ上だけでなく会場全体の空気が変わる。なんていうか、貫禄がある。よく太った人に使われる言葉だが、そういう意味ではない。彼女はとっても華奢だからね。風格とでもいうのかなぁ・・・あのすばらしさを言葉にするのは難しい。彼女のオーラにふれられて、私はとっても幸せ。

しかし今回の最大の収穫は、実は吉田都でも美術でもなく、クララ役の鈴木美波だった。スタダンの研修生(かな?)で、既に何度かスタダンの舞台も経験している様子。とても綺麗な踊りで、最後までしっかりと踊り通していた。顔立ちも少女らしくて、観客側もあのクララなら感情移入がたやすかっただろうと思う。見にきていた小学生の女の子たちが、休憩時間や終演後にみんなクララになりきって踊っていたのが何よりの証拠。すばらしかった。また見たい。

ロイヤルから来てた王子役の佐々木陽平の踊りは初めて見たのだけど、端正で上品でしかもとっても丁寧に踊っていて、なかなか素敵でした。たぶんこれが西島くんだったら「どーよっ、俺が王子だぜっ」って感じに少々邪悪な感じになったと思うのだが(ま、それはそれで・・・)、おとなしめで品のよい王子様でした。

ジャック・イン・ザ・ボックスの根本しゅん平も思わぬ収穫。確か99年のローザンヌに出た人だと思うケド、すばらしいジャンプでした。あと、スタダンでいつも目をひくのは白椛祐子。踊りというより、満面に笑みをたたえて楽しそうに踊るので、つい見ちゃう感じ。芦笛の踊りは、かわいらしくてよかった。中国の踊りやトレパックは、ちょっとしんどそうだったなぁ・・・もう少し軽やかにいってほしいところだけど、人不足のスタダンゆえ、一人2役は当たり前、みんなくたびれちゃってたのかも。

最後にひたすら続く賞賛の拍手。帰りがけのみんなの幸せな笑顔。真夏に見るクリスマスの夢は、いまだ覚めないのでした。

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管理人:ゆう

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